R:汚染されている可能性が払拭しきれないということだと、人体に影響がないようなレベルまで浄化してくれないと困るわけですけど、本当にきちんと浄化されているか不安ですね。何か別の対応策も必要だということですけれども、どういう方法があるのですか。
小出:まず必要なことは原子炉建屋周辺に遮水壁を張り巡らせて、地下水が原子炉建屋の中に流れ込まないというこ とをやるべきだと私は思います。現在、凍土壁というような遮水壁を造ろうとしているのですが、たぶんそれはできませんので、きちっとした遮水壁を造って、 抜本的に汚染水の増加を防ぐというようなことをやらなければいけないのだと思います。
R:しっかりとした遮水壁ができるまで、当面は汚染水を汲み上げ、海洋に放出せざるをえないということでしょうか。
小出:当然、放射能というものは、環境に捨ててはいけないわけですから、陸にも捨ててはいけないし、海にも捨て てはいけないものです。ただし残念ながら、福島第一原子力発電所の事故はすでに起きてしまっているわけです。敷地全体がもうベタベタに放射能で汚れている わけですし、放射能の本体である熔け落ちた炉心がどこにあるかも分からない。ただただ、ひたすら水をかけてこれ以上熔かさないようにするということを4年 半にもわたって続けてきているわけです。本当に出口の見えない作業を今、行っているわけで、残念ですけれども、やはり今後も放射能を海へ流すということは 続いてしまうだろうと思います。
少しでもその量を減らすために、何をやらなければいけないかということをきちんと考えて実行することが必要なのですが、国も東京電力も愚かにも凍土 壁というようなものを今やっているわけですし、工程表全体に関しても、本当に楽観的な見通しの下で作業を進めてきています。抜本的に、やはり考え直すべき だと私はずっと思ってきましたし、今でもそう思っています。
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