北朝鮮住民の大部分は、食糧配給が麻痺している現在、商売行為や労働力を売って生計を維持している。だが地方の貧困層の場合、それだけでは生活が成り立た ないため山に入って不法に個人で畑を作るケースが多い。アジアプレスの北朝鮮内部の取材協力者が、ある地方の山に入って、山を開墾して作った畑で作業する 人々の姿を撮影した。
伐採されて木がほとんど見えないはげ山には畑が碁盤のように広がっていた。山道を登っていく男性に撮影者が「どこに行くのか?」と聞くと、その男性はぶっきらぼうに「『インカデ』を引きに畑に行んだ。俺たちはしっぽのない牛と同じだよ」と話した。
「インカデ」とは、トラクターや牛の代りに人が引っ張って畑を耕す道具のことだ。
映像には、年齢が80を過ぎたという老人も見える。彼も食糧を得るために山に入って牛のように「インカデ」を引かなければならないのだ。
撮影者が聞いた。「子供たちが面倒を見てくれないんですか?」
老人は「子供たちも、自分が食べていけるかわからないぐらいなのに」と答える。
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