前出・村山教授は「一般論でいえば、すべてのステークホルダー(利害関係者)が関与していることが重要です。ほかの検討会では自治体職員だけでなく、弁護 士や専門家などもっと幅広い委員が入っています。今回の検討会は解体・改築工事のアスベストについてですから、建物の所有者や事業者、管理権限を持つ自治 体、住民、法律や技術の専門家などが公平なバランスの取れた議論をするには必要でしょう。少なくとも、市民の立場の委員が入っている必要があると思いま す」と現状の委員構成に疑問を投げかける。

委員の1人であるNPO、東京労働安全衛生センターの外山尚紀氏に聞いたところ、「検討会の当日まで委員構成も知らされず、非公開ということも当日 初めて知りました。1回目の検討会から1週間ほどして改めて非公開はおかしいこと、委員構成についても、アスベストの被害を受けて実際に取り組んだ当事者 やリスクコミュニケーションの専門家を入れるべきと文書で要請しました」と明かす。

だが、環境省から明確な回答はなかったという。

筆者が同省の担当者に委員構成の不公正さについて指摘すると、当初「住民は自治体が現場を持っておりますから」と主張した。

自治体と住民は立場がぜんぜん違うだろうと突っ込むと、「ですからNPOに入っていただいた」と言い直した。

それも支援者であって、当事者ではない。当事者すら入らず「リスクコミュニケーション」といえるのか。

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