現地には、現状のままでの保存を求める遺族らが「事故現場で破壊をやめて下さい」という横断幕を掲げ、無言の抗議を行っていた。(1月尼崎市で撮影:矢野宏/新聞うずみ火)
現地には、現状のままでの保存を求める遺族らが「事故現場で破壊をやめて下さい」という横断幕を掲げ、無言の抗議を行っていた。(1月尼崎市で撮影:矢野宏/新聞うずみ火)

 

それによると、マンションの5階以上を撤去する。衝突痕が残る部分を中心に4階までを保存し、天窓を設けたドーム状の屋根で覆う。さらに、「外から見えな いように」と求める遺族に配慮してマンションの線路側に壁を作る。ただ、一部を透明ガラスにして運転士からはマンションが見えるようにするという。

また、運転士を除く106人の犠牲者の氏名と事故概要などを記した慰霊碑を立て、事故関連の資料などを展示する管理棟なども設ける。

現場の仮囲いの組立作業が始まった12日。事故で次男を亡くした神戸市北区の上田弘志さん(61)と長女を失った大阪市城東区の藤崎光子さん (76)、次男が瀕死の大けがを負った兵庫県伊丹市の西尾裕美さん(57)が現場を訪れ、「原爆ドームが平和を訴えるように現場マンションは安全を訴え る」などと書かれたゼッケンをつけ、無言で工事を見守った。

藤崎さんは「事故原因もわからないのにマンションを壊すなんて納得できません。事故現場には事故のにおいがします。現場マンションは事故の真実を伝え、安全を訴えるもの、現状のままで保存すべきです」と語った。

整備工事は18年夏ごろに完成する予定。
【矢野 宏/新聞うずみ火】

 

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