監督たちを悩ませる「訓練課」
監督が訓話で引用する金正日のお言葉は、中長期のトレーニング計画に基づいて作成する「一日トレーニング案」の冒頭に書きこまれる。
監督は案の作成に際し、お言葉に続いてその日のトレーニングの目的と課題、そして具体的な指導方法を書いていくのだが、これが面倒なことこの上ない。
指導方法については、動作の反復回数や実行時間、維持すべき脈拍数、動作を示す図など、詳細をきわめた内容が要求される。
まともに書こうと思えば小論文並みの労力と時間が必要になり、それを毎日作成するなどとても現実的とは言えない。それにスポーツ一辺倒でやってきた監督の中には、理論立てて案を書くのが苦手な者が少なくない。
だから多くの場合、監督はトレーニング案をごく形式的にまとめたり、「ひな形」を作っておいて、お言葉や一部の内容だけを書き換えて済ませたりしている。
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