そして実際の練習メニューは案に書かれたものではなく、自分の経験とアイデアに基づいて頭の中で組みたてているのが普通だ。
それでも、問題は残る。すべての体育団には「訓練課」というものがある。計画どおりにトレーニングが実施されているかどうかをチェックする部署なのだが、これが監督たちにとって非常に頭の痛い存在なのだ。
多くの場合、訓練課には他の体育団の元選手たちが配属される。彼らは頻繁に練習場に現れ、トレーニング案と、実際に行われている練習内容が一致しているかどうかをチェックする。
トレーニングは、様々な政治イベントなどに邪魔されて計画通りに進まないことも多く、訓練課はそんな部分についてもいちいち文句を言ってくるのだ。
だからといって正面から彼らとぶつかれば、「思想的に問題がある」とみなされて、自己批判などをさせられるハメになりかねない。そのため監督たちは、タバコを贈ったり食事に誘ったりと、訓練課員たちとの関係を良好に保つために腐心しているのである。
※本稿は、「北朝鮮内部からの通信・リムジンガン」第7号の記事に加筆修正したものです。北朝鮮スポーツ関連の詳しい内容は「リムジンガン」7号をご覧ください。