人民生活の向上は金正恩氏の国民への公約である。党大会を機に新しい具体的な経済計画=ビジョンを提示し、国民が実感できる成果をできるだけ早く見せる必要がある。
そのためには資金がいる。国営企業の大工場は錆びついて大方が止まったままで、エネルギーまともに供給もできていない。主に中国に天然資源を売って 稼いだ外貨は、非生産的な政治宣伝のハコモノや記念碑、銅像、スキー場などの娯楽施設建設や、核や「ロケット」開発に注ぎ込んできた。インフラ整備は、平 壌中心部以外は切り捨てられたままだ。
それだけではない。国の最大の祝日である2月16日(金正日生誕日)、4月15日(金日成生誕日)に、国民への特別配給も準備しなければならない。 これらが滞ることは、金正恩氏が2013年3月に提示した「核開発と経済発展の並進路線」が不調、あるいは失敗であることが内外に露呈してしまう。
その場しのぎであれ、構造改革であれ、人民生活向上と産業復旧のためには、外部からの支援、投資が不可欠だ。そのためには国際孤立を脱して周辺国と の関係改善が必須である。2013年2月の三回目の核実験と、同年末の張成沢粛清で冷え込んだ中国との関係改善を、ぜひとも実現したいところであったはず だ。
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