R:公約をしたのに、保有を続けようというのですか?

小出:はい。そのためどうしょうもなくなって今、日本は、あり余っているプルトニウムを、プルサーマルという、普通の原子力発電所で燃やしてしまおうというような危険な行為をやらざるを得なくなっているのです。そんな時にさらに、核燃料サイクルによって新たなプルトニウムを生み出すなんていうことは、意味がないどころか自分で自分の墓を掘るというような馬鹿げた行為になってしまっています。一刻も早く核燃料サイクルなどというものは断念すべきだと思います。

R:実際に経済的にも技術的にも行き詰っている核燃料サイクルですが、日本にはそのために稼働を見越した二つの大掛かりな施設がありますね。

 小出:はい、もともと核燃料サイクルの目玉は2つありました。ひとつは、使用済み燃料の中からプルトニウムを分離して取り出すという再処理で、もうひとつは、取り出したプルトニウムを効率よく燃やす原子炉として、高速増殖炉というものを動かしたいということになっていたのです。

その高速増殖炉として、日本ではもんじゅという少し大きめの実験炉を造ろうとしてきました。ただ、もんじゅという原子炉は1兆円を超えるお金をすでに投入しましたけれども、豆電球一つ灯せていないという実に馬鹿げた装置になってしまったのです。

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