試合は終始、五分五分のシーソーゲームが繰り広げられた。シュートする北朝鮮のリ・イェギョン選手。2016年3月9日(撮影アジアプレス)
試合は終始、五分五分のシーソーゲームが繰り広げられた。シュートする北朝鮮のリ・イェギョン選手。2016年3月9日(撮影アジアプレス)

 

試合が始まったが、雨は依然として強く降っていた。グラウンドには水がたまり、両チームいずれもプレイに支障をきたしていた。特に北朝鮮チームにミスが頻繁にあった。日本チームのゴールを脅かすシュートが外れ、決定的チャンスを逃した時は本当に残念だった。両チーム無得点のまま試合は激しくなり、双方の応援も盛り上がっていった。

日本チームの応援団には様々な年齢の人たちが混じっていたが、北朝鮮側の応援団は中高生と見られる若い生徒たちが大半だった。北朝鮮側の応援団の方が規模も大きく組織的だったが、大部分は朝鮮学校の生徒たちで、おそらく朝鮮総連が計画的に組織したものだろう。

北朝鮮側の応援席では、国旗とともに「サッカー強国の威容を轟かせよう」、「勝て!頼もしいサッカー選手たち」というスローガンを掲げ、「イギョラ、イギョラ」(勝て、勝て)と声援を送る。

後半戦に入って体力が落ちたのか、北朝鮮チームの攻撃が弱まったが、日本チームと大きな力の差はないように見えた。前半戦から感じたことだが、日本チームの競技水準は北朝鮮チームのそれに比べて高いようだった。結局、後半35分頃に北朝鮮チームは1点を失い、挽回しようと頑張ったが、結局そのまま試合終了となった。

2014年、2015年のいくつかの国際競技大会で連続優勝した北朝鮮チームだったが、五輪予選の最終試合では、結果を出せなかった。北朝鮮政権は敵対国(米国、日本、韓国)との試合では無条件に勝つことを求めるので、韓国と引き分け、日本には負けた代表チームのキム・グァンミン監督は、帰国した後叱責されるだろうなと思った。
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