強制貯金要求に反発

咸鏡北道の別の地域に住んでいる取材協力者B氏は、3月16日の通話で、「行政の事務所が『70日戦闘』に合わせてすべての住民が毎月1000ウォンを銀行に貯金するよう強要し始めた」として、次のように述べた。

「地域の事務長が家々を回り、『国にお金がなくて、銀行が空っぽになっている。『70日戦闘』のために、毎月1000ウォンを貯金するように。ちゃんと利子が付く』と指示したが、利子をいくら付けるかという説明は無かった」

だが、住民たちは当局の貯金強要に素直に応じていないようだ。協力者B氏によれば、2010年の「通貨切り下げ」(※2)の時に、強制的に貯金させられて多額の財産を失った経験があるため、周囲の住民たちには「強制貯金」に応じている者はいないとして、次のように語る。

「『70日戦闘』期間に合わせて(1~3月分の)3000ウォンを貯金しろと言っていたのに、次は急に5000ウォン(1~5月までの分)を貯金せよと言い出した。地域の幹部たちは自分の実績のために、貯金計画を前倒しにして指示しているようだが、住民たちは応じようとしない」。

(北朝鮮では、一度銀行に金を預け入れると引き出すのに金額の半分ほども手数料を取られるのが常で、自ら進んで銀行に預金する人は皆無だ)

「70日戦闘」開始で成果続々と報道

計画経済麻痺のため、正常運営している工場がほとんどない有様の北朝鮮で、「70日戦闘」によって、いったいどのような経済目標を、どのように実行しようとしているのか、非常に興味深い。

「70日戦闘」の開始後、労働新聞は「経済計画を前倒しで超過達成した」という記事が連日掲載されている。3月17日付労働新聞1面にも「上半期も人民経済計画を輝かしく達成す」という見出しの下、平壌市内の四つの工場が上半期の計画を達成したことを宣伝している。

現在の北朝鮮で、社会主義経済計画がどのように立てられているか分からないが、まだ上半期が2カ月以上も残っているのに計画を達成した工場が続々登場しているのだ。

これまで、北朝鮮で「70日戦闘」のような各種のカンパニア運動が展開されるのは、いつも権力にとって重大な行事があったり、体制維持のための必要性が提起されたりした時であった。
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