農場の保安員(警察)に言っても知らんぷり。息子を地元の子どもたちは平壌の言葉を使う『追放者』の子だといじめるし、毎日泣きながら過ごしていました」

平壌市民にとって、農村や鉱山などに追放され「疎開民」となるのは、まさに悪夢だ。

一方、「疎開民」の中には再び平壌へと舞い戻る特殊な人々もいる。平壌で手広く商売をし蓄えの多い人は、賄賂の力で追放地を近場にしてもらい、そこでも商売で成功する場合がある。さらに賄賂を積んで一、二年で平壌に復帰することだってある。

北朝鮮では本来、「疎開」という言葉は日本と同じく、戦災からの避難を指す言葉として使われてきた。

明日をも知れぬ「追放者」の身に落ちた人々が、自らを慰めるために、「疎開民」と自称したのが由来ではないかと、筆者は推理している。

都落ちである追放が代々続くのではなく、「一時的な移住」として終わって欲しい、北朝鮮人らしい儚い願いが込められているというのは、あまりにナイーブな見方であろうか。(ペク・チャンリョン)

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