◆ドイツで新たな人生の門出
武装組織「イスラム国」(IS)の迫害を受け、庇護を求めてドイツに滞在しているイラクのヤズディ教徒たち6組が合同で結婚式をあげた。新婦はいずれも、ISによって拉致され、戦闘員と強制結婚させられ、命がけで脱出してきた女性たちだ。現在、ドイツ政府の支援で心の傷を癒すためのメンタルケア・プログラムを受けている。
2014年8月、ISはイラク北西部シンジャルのヤズディ教徒居住地域を襲撃、住民に改宗を迫り男性を次々と殺害したうえ、女性と子どもは強制連行し、「戦利品・奴隷」として分配した。新婦のひとり(18)は村を襲撃され、モスル郊外へ拉致されたのちIS戦闘員と強制的に結婚させられた。「銃をつきつけられ連れて行かれ、過酷な経験を強いられた」と言う。拉致から3か月後、地元住民などの助けで脱出を果たし、イラク・クルド自治区に逃れたのち、昨年ドイツに庇護支援を受けることになった。新郎(17)は現在、難民庇護申請をし、認定を待っている。新婦とはクルド自治区内の避難民キャンプで出会い、結婚を決めたという。
「彼女に初めて会ったとき、一目ぼれしてしまった。彼女は何も悪いことはしていないと家族は理解してくれた。彼女を一生守る」とガジさんは話す。
次のページ:ヤズディ社会では未婚女性は婚姻まで…
1 2