震度7の本震発生から3日目の熊本県阿蘇市内。至るところで無残な倒壊家屋が目に付いた(2016.4.17撮影/矢野宏)
震度7の本震発生から3日目の熊本県阿蘇市内。至るところで無残な倒壊家屋が目に付いた(2016.4.17撮影/矢野宏)

 

避難所に身を寄せれば少しは救援物資もあるかもしれないが、「幼子がいて大声で泣いたりすると、周りの人達に迷惑をかけるので」と、車の中で避難生活をしている。だが、昨晩は雨が車を叩く音が激しくて眠れなかったという。

矢野さんのように余震の心配から狭い車の中で暮らすことでエコノミークラス症候群の危険性が指摘されていたが、熊本市西区の51歳の女性が亡くなったのは18日のことだ。

神社の横参道には門前町商店街が広がっている。その一画で「門前町支援広場」が開かれ、2代目たちの会「若きゃもん会」のメンバーたちが炊き出しを行ったり、必要な物を配ったりしていた。救援物資がまったく来ないため、自分たちでやれることをやろうと開設した。

代表の岩永芳幸さん(44)=一の宮町宮地=は「活気があれば商売ができるし、笑顔になる」と語気を強める。

もともと観光客が通らない商店街だった。15年前、岩永さんら2代目たちが「観光客を30分待機させる商店街にしよう」と一念発起。甘辛味の馬肉が入ったコロッケ「馬(ば)ロッケ」や地元食材にこだわった「田舎いなり」などのオリジナル商品を生み出し、商店街に点在する湧水スポットを訪ね歩く「水基めぐり」で、年間35万人の観光客を呼び込むまでになった。

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