では、もし緊急事態条項が導入され、大災害が起きた場合、何が起こるのか。永井弁護士がまず指摘するのは情報統制の可能性だ。

「流言の防止などを理由に報道も通信も制限され、インターネットも遮断されるかもしれません。大規模な災害が起きた際、最も必要なものは正確な情報。デマや流言は、正しい情報が流れないから発生するのです。情報統制の結果、被害の状況が伝わらず、被災地は忘れられてしまう。太平洋戦争末期の1944年12月に東南海地震、45年2月に三河地震という震度7クラスの大地震が発生しましたが、軍部によって徹底的に情報が統制され、被害の実態が完全に隠されてしまったのです」<緊急事態条項>(下)へ

自民党憲法改正草案 〈九章 緊急事態〉*主なものを抜粋

〈98条 緊急事態の宣言〉
・内閣総理大臣は我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、大規模な自然災害、その他法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて緊急事態を宣言できる(1項)。
・緊急事態の宣言は、法律の定めるところにより、事前又は事後に国会の承認を得なければならない(2項)。
〈99条 緊急事態宣言の効果〉
・内閣は法律と同じ効力を持つ政令を制定できる。財政上必要な支出その他の処分を行うことができる。(1項)。
・何人も、国民の生命、身体、及び財産を守るために行われる措置については、国その他公の機関の指示に従わねばならない(3項)。

※永井弁護士の講演会「憲法に緊急事態条項は必要か」が4月16日(土)午後2時から、大阪で開かれます。場所は大阪市中央区谷町2丁目2-22NSビル9F「市民学習会議室」資料代 般1200円 学生・障がい者800円(新聞うずみ火読者は1000円)
主催・問い合わせ 新聞うずみ火(06-6375-5561、uzumibi@lake.ocn.ne.jp)

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