炊き出しに並ぶ避難者=由布院小学校
炊き出しに並ぶ避難者=800人が避難した由布院小学校で(2016.4.17撮影/矢野宏)

昼前、小学校のグラウンドで炊き出しが始まり、温かい食事が振る舞われた。ボランティアに入っている市議の広末英徳さんが、列に並んでいる被災住民たちに声をかけていた。
「どげんしとったんが?」

40歳代の夫婦が深刻な表情で「家が傾いてしまって。もう住めないかも……」と、肩を落とした。
広末さんはこんな言葉で励ました。
「命があっただけでも、よしとせんと。みんなで力を合わせて頑張ろう」
21年前にも聞いた言葉だった。阪神・淡路大震災直後、被災者同士がそう語り合っていた。

この日の正午過ぎ、由布市に出されていた「避難準備情報」が解除された。この指定は、災害により被害が出る恐れがある地域の住民に対し、市町村長が避難準備を呼びかけるものだ。確かに、温泉地が大型連休を控え、影響を心配する声はある。だが、熊本に報道が集中する中、このまま「忘れられた被災地」になってしまわないだろうか。(続く)

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