最大震度7を観測した熊本地震発生から3日目の4月17日、神戸発のフェリーで大分県へ入り、前日の未明に起きた「本震」で大きな被害を受けた由布市、そして熊本県阿蘇市を訪ねた。船中2泊、滞在12時間の駆け足取材だったが、断続的な地震に不安を抱く被災者の声に耳を傾けた。(矢野 宏/新聞うずみ火)
◆大分県由布市~早すぎる避難情報解除
地震発生を受けて、熊本、大分両県と隣接する県内に住んでいる「新聞うずみ火」の読者に安否確認の葉書を出したあと、伊丹空港から空路熊本へ入る便をおさえた。だが、16日未明の本震で熊本行きはすべて欠航となった。新聞の締め切りも迫っており、今回の取材を諦めかけたとき、時おり出演させてもらっているラジオ関西の西口正史記者が神戸発大分行きの「弾丸フェリー」で現地入りするというので、同行した。
16日夜、神戸・六甲アイランドを出港したフェリーは12時間の船旅を経て、翌17日朝、大分港に到着した。フェリーはその日の夜に神戸へ引き返すことになっており、早速、大分県内で被害の大きかった由布市を目指すことにした。
温泉地として知られる由布市湯布院町には車で西へ30分ほど。湯布院町は16日午前1時25分ごろに県内で史上最大となる震度6弱を観測。ほぼ1時間後にも震度5弱の地震があり、家屋の倒壊が相次いだ。狭霧台展望台から街を一望すると、民家の屋根には損壊した瓦屋根からの雨漏りを防ぐブルーシートが目に入る。
JR由布院駅の駅前は人影もまばら。駅前から由布岳方面へ向かうメインストリートには土産物店に混じってカフェやレストラン、ギャラリーなど個性的な店が軒を連ねているが、ほとんどがシャッターを閉めていた。この日に予定されていた恒例の「ゆふいん温泉まつり」も急きょ中止されている。
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