韓国全羅南道珍島(チンド)沖で旅客船「セウォル号」が転覆・沈没して、乗員・乗客に死者295人、行方不明者9人、捜索作業員に死者8人を出した韓国最悪の海難事故から、この4月で丸2年になる。セウォル号船体に取り残された乗客の多くが修学旅行に向かう高校生だったこともあり、救助活動のもたつきや、情報開示の不手際で、朴槿恵(パク・グネ)政権は、強い批判を浴びた。
映画「ダイビング・ベル」は、救出作業の初動段階で、民間の長時間潜水設備「ダイビング・ベル」※の投入を巡って、政府・海洋警察の判断が混乱する状況を潜水業者に密着して撮影したドキュメンタリー作品だ。
カメラは、救助活動拠点となった彭木(ペンモク)港で、「ダイビング・ベル」投入までの混乱を追い続ける。政府・海洋警察が「ダイビング・ベル」の捜索投入を認めない中、港に陣取る被害者家族は、一刻も速い捜索を求めて投入を迫る。
事故発生から2週間以上が経ってから「ダイビング・ベル」はようやく投入される。だが、現場付近の海中は、海洋警察や軍が先行救助活動で使ったロープが漂うなど、作業は難航。結局2時間ほどで中断し撤収することになる。多くのマスメディアは「『ダイビング・ベル』は失敗」と断じた。
次のページ:海への投入準備をする「ダイビング・ベル」...
1 2