二つ目は、「突撃隊」の人員不足だ。90年代飢饉の影響で若年人口が減っている上、3-5年の「突撃隊」生活が過酷なため、若者たちはなんとか忌避しようとする。
「突撃隊」生活を務め上げると、出世の前提である労働党入党という褒章・対価があり、かつては志願する若者が大勢いた。だが昨今、出世しなくても市場活動で金儲けをするチャンスが大きくなり、党員になることのメリットはかつてに比べて小さくなってしまった。
党大会に合わせて、平壌はじめ各地で土木建築工事が急ピッチで進められているが、本来タダで投入できる「突撃隊」の人員が不足している。若者を無理に強制動員することで労働力を確保したいというのが当局の狙いだと思われる。
C氏によれば、4月12日現在、彼の居住地の党事務所前には、子供の強制動員に対して連日8~10人の親たちが集まり、「こんな無法天地がどこにある」と抗議が続いているという。
※青年同盟の正式名称は「金日成社会主義青年同盟」。中学校4年生から概ね30歳未満の非党員を組織する。
※突撃隊とは、国家的な大きな建設プロジェクトに動員される労働部隊のこと。多くは青年同盟や職場などで組織・管理され、発電所建設や、道路や鉄道の建設などに投入される。建前は志願制だが、職場や組織ごとに、そこに送る人員の割り当てが決まっており、参加は半ば強制だ。期間は通常は3~5年の間である。軍隊を模倣した組織形態を持つ。青年同盟は中央と地方を合わせて20以上の「青年突撃隊旅団」を組織しており、一大勢力となっている。
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