アジアプレスでは、金正恩政権が核、ロケット発射実験強行した直後の2月と、国連安保理が経済制裁に踏み切った直後の3月上旬、北朝鮮に住む住民に電話で直接考えを聞いた。いずれも北部地域に住む女性で、一人は30代の主婦で、夫は国営企業の労働者で本人は商売をしている。もう一人は40代で、国営企業に籍を置いているが、普段は金を納めて出勤せずに商売をしている。生活レベルは地方都市の平均的な水準である。通話は、北朝鮮国内に投入している中国携帯電話で行った。(聞き手 カン・ジゥォン/整理 石丸次郎)
北部地域の30代の女性 2月初旬
◆ロケット発射に不満
Q.昨日ミサイル撃ったことについては知っていますか。
A.はい、話を聞きました。
Q.ミサイルだと言っていますか、衛星だと言っていますか。
A.衛星だと言つていますね。
Q.(発射が)成功したので重大報道をしたそうですが、皆が集まって聞いたんですか。
A.はい。昨日のお昼に(重大報道を)すると言ってましたが、電気が来てなくて晩になって(テレビを)見ました。
Q.晩に集まって見ましたか? 人民班ごとに?
A.人民班ごとに集められて見るのではなく、見ようにも電気が来ていないので、電気の来る家に行って見ました。
Q.(地区として)電気が来ていなくても、電気の来る家というのがあるんですか?
A.はい。力のある家(幹部、金持ちの意)には電気が来るようにしますから。(※配電係りに賄賂を払うなどの方法を取る)。
Q.そうですか。では人々は衛星を打ち上げたことを、お祝いムードで喜んだりしていますか?
A.そんなのは特にありませんよ。
Q.皆、関心がないんですか、衛星を打ったことについて?
A.皆、食べて生きることに精一杯ですから。しかし、(電話で)こんなこと言っても大丈夫ですかね。
Q.大丈夫です。いくつか伺います。関心がないとしたら、人々はニュースを見ながら喜んでいる人もいないということですか?
A.ええ。コメをくれるならば喜ぶのでしょうが。
Q.ミサイル一発撃つ金で、そちらの住民たちの3年分の食糧を供給できると報道されています。
A.はい、私たちもそれについては知っていますよ。
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