黄海北道の沙里院市のバス駐車場に掲げられた運賃表を見ると、沙里院を始発点とする各路線の距離と運賃が書かれている。「鉄原(チョルウォン=江原道鉄原郡)行き」ならば距離150キロで運賃2万4300ウォン、「孟山(メンサン=平安南道孟山郡)行き」ならば距離120キロで運賃1万6000ウォン、といった具合だ。
北朝鮮内部の取材協力者たちに確認したところ、実際の運賃は、ガソリン価格やその他の物価と連動して変動する「実勢価格」であるという。
市場における商人たちは、その時々の相場に応じて商品の値段を上下させるが、「稼ぎバス」の運賃も同様である。運賃表に書かれているのは、この「実勢価格」を安定させるために当局が設定した「限度価格」(目安価格)だと思われる。
また、運賃表を見ると、距離が同じでも運賃に差のある例がみつかる。これは、道路の状態や取締り検問所の有無など、北朝鮮特有のいくつかの要因によるものだ。ちなみに、2013年における「稼ぎバス」の主要路線別の運賃は次の通りだ。
平壌―沙里院 3500ウォン
平壌―平城 3000ウォン
平城―順天(スンチョン) 2500~3000ウォン
平壌―咸興(ハムン) 3万5000ウォン
平壌―元山(ウォンサン) 1万5000~1万7000ウォン
新義州―南浦 3万~3万5000ウォン
南浦―海州(ヘジュ) 1500~2000ウォン
恵山―咸興 8万ウォン
恵山―清津、元山 10万~11万ウォン
(13年12月時点の実勢レートは1000ウォン=12.5円)
※当記事は、『北朝鮮内部からの通信「リムジンガン」第7号』に掲載されています。