原子力規制委員会は15年末、高速増殖炉「もんじゅ」の運営主体を変更するよう文部科学省に勧告した。多くの国はすでに、原子炉のエネルギー源であるウランを増殖させるための高速増殖炉の建設を断念しているのが現状だ。この問題について、元京都大学原子炉実験所・助教の小出裕章さんに聞いた。(ラジオフォーラム)
◆日本だけが手放そうとしない理由
ラジオフォーラム(以下R):昨年11月に、原子力規制委員会が、福井県敦賀市にある高速増殖炉もんじゅの運営主体を日本原子力研究開発機構から変えなさいというふうに、所管する文部科学省に勧告を出したということなのですが、この問題をどうお考えですか。
小出:はい、あまりにも遅すぎたと思います。本当だったらもっと前にこのような勧告を出さなければいけなかったはずだと私は思います。ようやくにしても、出たこと自体はどちらかと言えばいいことだとは思いますけれども、遅すぎたと私は思います。
R:こういう勧告を出したことは、今までにあったのですか。
小出:ありません。もともと原子炉というのは設置許可というものを与えるわけですけれども、与えた許可を取り消すという条文が法律にないのです。本当ならば、許可を与えたけれども、この原子炉はダメだからといって取り消すというのが一番真っ当なやり方だと思うのですが、そのような法律的な裏付けがありませんので、仕方がなくて勧告というようなやり方をとったわけです。
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