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原子力規制委員会は15年末、高速増殖炉「もんじゅ」の運営主体を変更するよう文部科学省に勧告した。多くの国はすでに、原子炉のエネルギー源であるウランを増殖させるための高速増殖炉の建設を断念しているのが現状だ。この問題について、元京都大学原子炉実験所・助教の小出裕章さんに聞いた。連載その2です。(ラジオフォーラム)
小出:未だに高速増殖炉にしがみついているのは日本だけです。中国などの国がやるという話はありますけれども、長い間やり続けてきて、未だに諦めもしないのは日本だけになってしまっています。
R:特に、高速増殖炉の冷却剤に使われる液体ナトリウムというのは非常に管理が難しいそうですね。
小出:そうです。ナトリウムというのは、通常の温度ですと銀白色をした固体なのですが、熱をかけていきますと液体になります。それをぐるぐると原子炉の中を回して、炉心を冷却しようという技術なのです。
けれども、ナトリウムというのは水に触れると爆発してしまうのです。空気中に出しておくと、今度は発火して火事になるという厄介な物質でして、例えば大学の研究室、実験室で使う時には、1グラム、あるいはそれ以下のものを使うとなると、かなり注意を払ってやらなければいけないのですが、もんじゅという原子炉では1000トンものナトリウムを液体にして、ぐるぐると原子炉の中を回すというような、途方もない危険を抱えたものなのです。
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