去る4月8日、大阪府立高校で一斉に入学式が行われた。
だが、その中で2校だけ新入生を迎えることができなかった。大阪府教委が池田北高(池田市)と咲洲(さきしま)高の閉校を決め、2016年度の生徒募集を停止したからだ。
「新年度で入学式がないのは初めてです。廃校になるという現実を突きつけられ、あらためて悔しさがこみ上げてきました」
池田北高で12年間にわたって教鞭をとっているA教諭はそう振り返る。
午前中の始業式の後に行われた職員会議で、「今の子供たち(2、3年生)の教育水準を落とさないよう努める」ことを確認し合ったという。
池田北高は1984年4月に創立。丘陵地に造成されたニュータウン伏尾台の標高100メートルの高台にある。府立高で唯一、普通科の中に「音楽専門コース」があり、プロ演奏家たちの指導を受けることができるのが大きな特徴だ。
開校して5、6年後には第2次ベビーブーム世代を迎え、1クラス48人で1学年12クラスを数えたが、現在の生徒数はピーク時の3分の1ほど。府内の公立中学の卒業生の人数が87年をピークに半減しており、池田北高の場合、阪急「池田駅」からバス通学(20分)とあってここ数年定員割れしていた。
少子化による生徒数の減少を理由に、府教委は府・市立高7校を30年度までに段階的に廃校する「再偏整備計画」を策定。維新の会主導で作られ、12年に施行した「府立学校条例」では3年連続で定員割れした高校は再編対象になると規定しているが、府教委が池田北高と咲洲高について、定員割れ2年目の段階で廃校案を決めたのは2014年9月3日のこと。
生徒や保護者らはその日のテレビニュースなどで知った。
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