豆満江を挟んで左側が中国、右側の北朝鮮の山には見事に木がない。2004年6月咸鏡北道茂山(ムサン)郡。中国側から石丸次郎撮影(アジアプレス)
豆満江を挟んで左側が中国、右側の北朝鮮の山には見事に木がない。2004年6月咸鏡北道茂山(ムサン)郡。中国側から石丸次郎撮影(アジアプレス)

◆没収した「隠し畑」を転売する不正の横行

咸鏡北道の別の協力者B氏も、今年は厳しいと次のように伝える。
「山の畑に接近できなくしているし、何か植えたら抜かれてしまいます。最近、植えていたジャガイモを山林監督員が全部抜いてしまいました。随分大きくなっていたのに…」

「隠し畑」を取り締まるのは「山林保護所」という役所である。ところが「金正恩元帥様の方針」という誰も逆らえない命令を掲げながら、裏ではひどい不正が行われているという。A氏が続ける。

「『隠し畑』を没収すると、そこには植樹をせずに個人や機関、企業所に闇で売り払ってるんですよ。1町歩(9917.4㎡)当たり40万ウォン(約5000円)だそうです。『隠し畑』を没収され庶民たちは文句も言えず、陰で罵っていますよ」

荒廃しきった山に植林を進めることはまったく正しい。しかし、乱伐の根本原因は経済破綻による飢餓と貧困にあったわけで、この問題に手をつけずに、植樹だけを強いれば、庶民の困窮だけが進むことになるだろう。

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