この協力者は具体的な状況を次のように説明する。
「(市内の)アパートでは、人民班長が責任者になり各世帯から二人ずつ人が出て警備に立っています。農村では、里の労働党の書記や幹部たちに、保安員(警察官)、保衛部員(秘密警察官)、青年同盟員が一つの組になって村を巡察しています。晩も「永生塔」や革命史跡地を交代で警備しています」
人民班とは、最末端の行政組織で「隣組」のようなものだ。里は農村の行政単位だ。「永生塔」とは金日成-金正日父子を顕彰する記念塔で、この4年間に全国に建てられた。
北朝鮮には、「永生塔」の他にも金父子の銅像や肖像画など、指導者を偶像化する記念建造物が全国にある。これらがもし党大会期間中に毀損されたら、政治的事件となる。住民を動員して昼夜分かたず守っているというわけだ。この協力者が続ける。
「警備に立つ時間が決められているので、その間はどこにも行かず無条件に参加しなければなりません。厳しいのは『宿泊検閲』。警察が毎日全ての家を回って検閲しています」
北朝鮮では、居住地域以外の場所で宿泊するときは、必ず当局に届けなくてはならない。
特に中国との国境地域で厳格だ。密輸や脱北が頻発してきたことに加え、中国の携帯電話を使って密かに外国と通話する者が後を絶たないからだ。
北朝鮮の民衆には、息が詰まるような時間が党大会が終るまで、続くことになりそうだ。
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