軍用トラックが「サービ車」の営業をすることは珍しくない。いわば軍の「アルバイト」である。この車の行き先は順天で、運賃は1人2500ウォン。(2013年3月平城市 ペク・ヒャン撮影)】
軍用トラックが「サービ車」の営業をすることは珍しくない。いわば軍の「アルバイト」である。この車の行き先は順天で、運賃は1人2500ウォン。(2013年3月平城市 ペク・ヒャン撮影)

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バス、トラック、三輪バイクのほかにも、実に様々な車が「稼ぎ車(ポリチャ)」として利用されている。いっそ、北朝鮮のほとんどの車が「稼ぎ車」としての側面を持っていると言ってしまった方が妥当かもしれない。

それほど、副業として運賃を稼ぎたいと考えているドライバーが多いのだ。そうした車をキャッチするのも、さほど難しいことではない。車道の脇で、現金やタバコの箱を持った手を、走っている車に向けて振れば良いのである。

一方、一部の人々の間でだけ利用される、特殊な「稼ぎ車」もある。中央党、最高検察所、人民武力部、国家安全保衛部、人民保安部など最高権力機関の所有する車が、非稼働時間に「稼ぎ車」として活動しているのだ。

北朝鮮においては、こうした権力機関や特殊機関に所属する車は一般の車に比べ、はるかに行動の自由度が高い。治安機関などの取締りに遭うことが少なく、仮に制止されても、容易に切り抜けることができるからだ。

もちろん、料金はきわめて高額である。平壌出身の取材者の体験としては、2011年当時、人民武力部保衛司令部傘下の某部隊の車に乗り、通行証や身分証明書を持たずに平壌と新義州を往復した。

その際、同乗者が200米ドルを支払っているのを見たことがある。

平壌―新義州間の道路は、新義州が中国との国境都市であるため、他の地域に比べて取締り検問所(哨所)が多く、警備も厳重だ。

そのようなルートを通行証と身分証明書なしで往復にするということは、一般的な「稼ぎ車」では想像すらできない。こうした車を好んで利用するのは、主として闇商人たちだ。

とくに金やレアメタル、麻薬類、骨董品をはじめとする国の統制品を扱う商人たちが多く...

とくに金やレアメタル、麻薬類、骨董品をはじめとする国の統制品を扱う商人たちが多く、彼らは手帳に「稼ぎ車」として利用できる権力機関の車両の一覧をメモしている。権力機関の運転手たちも、闇商人らの利用を歓迎している。儲かるからだ。
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