NHKを退社したはずの幹部が、退社直後に配布された社内報で今後の経営方針について語っていた。それはその退社が円満でなかったことの証拠だろう。NHK局員の間で今語られているのは、最高幹部間の暗闘や混乱である。(アイ・アジア編集部)
◆退職幹部の経営方針乗せた社内報 なぜ?
アイ・アジア編集部が入手したNHKの社内報「Network」。4月5月合併号と題された最新のものだ。表紙には、NHKの頭文字からとったのだろう、「ナゴ見」「フカ見」「カエリ見」と書かれ、「変わります。よるのNHK」と書かれている。注目すべきは、その下に書かれている「特集」である。
「平成28年度 新番組・注目番組紹介 板野放送総局長に聞く」
これに衝撃を受けたNHK職員は多い。なぜなら、この人物はすでにNHKにいないのだ。
NHKの報道局員がアイ・アジア編集部に語った。
「驚きなんてものじゃないですよ。だって、辞めた人ですよ。その人が辞めた直後の社内報で今後の経営方針を語っているのですから、NHKの混乱も極まっているなぁと、誰もが話していますよ」
NHKの発表では、板野総局長はこの春の人事異動で退職している。当然、それは円満退職ということになっている。しかし、NHK内部ではそうは語られておらず、籾井勝人会長との間で意見の対立があったための事実上の更迭人事だったと受けとめられている。それがこの社内報で顕在化したことにNHK職員の多くが驚いているのだ。NHKの編成局員が語る。
「この春の番組編成は全て板野さんの指示で行われたわけです。大きいのはクローズアップ現代の改変で、国谷裕子さんを辞めさせて局アナを採用するというもの。これも板野さんの意向を受けて編成局主導で進められました。そうしたすべてを仕切った板野さんが急に辞めたわけですから、これは異常な人事だと内部ではささやかれていました。でも、実際に社内報にこういう形で出ると、やっぱりそうだったんだと、皆思いますよね」
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