といっても抜け道がないわけではない。幹部や金持ちの家族は、当局に賄賂を払って「参加したこと」にしてもらう不正行為が横行しており、庶民には不公平に対する不満が募っている。
さて、筆者が 本稿のタイトルに「奴隷制」という厳しい言葉を使ったのは、この一般住民対象の農村支援のことだけを言っているのではない。今年の農村支援には、短期の強制労働キャンプ「労働鍛錬隊」送りが決まった人々が投入され、酷使されているとの報告を受けたからだ。
6月21日、北朝鮮北部の咸鏡北道の取材協力者は次のように伝えてきた。
「咸鏡北道内のいくつもの農場で、拘束した『職場離脱者』たちを、農場内の空き地に天幕を張って宿泊させ草取りなどの農作業をさせている。期間は2~3か月間になるそうで、重労働で衰弱する人も出ている」。
※「労働鍛錬隊」とは、一年未満の短期の強制労働キャンプのこと。保安(警察)当局が、社会秩序を乱したと見なした人を、裁判なしで拘留して労働させる。
次のページ:農村に動員され草取りをさせられている女性たちの写真を見る