全国民を数か月に渡って緊張させ、疲れさせた労働大会が終わったのも束の間、北朝鮮では全国で農村動員が始まっている。雑草取りや田植えなどの奉仕労働に中学生から幹部までが動員されるのだが、動員される都市住民だけでなく、受け入れる農場員たちも負担が多く不満が募っているという。(カン・ジウォン)

疲れ果てたのか、動員作業の合間に横になって休む女性。2013年6月北部地域で撮影(アジアプレス)
疲れ果てたのか、動員作業の合間に横になって休む女性。2013年6月北部地域で撮影(アジアプレス)

 

まず5月末に連絡があった取材協力者に内部の雰囲気を聞いた。彼は農村近くに住む都市住民だ。

――農村動員が始まったが。

5月20日から全国的に農村動員が本格的に始まった。今農村でもめているのは、 動員されてやってくる学生たちの食べ物を誰が負担するのかということだ。農場員には不満が多い。

――どんな不満がありますか?

農場に支援に来た学生らに出すおかずや汁を農民が負担しろというのだ。農民個人が担当する畑を手伝ってくれる分ならともかく、国家の畑の作業をする支援者たちの分まで農民に出せと言うわけだ。負担が大きいので、農民たちはずっと村の党委員会に問題提起していてるのだが…。支援に来る者だけが飢えている。以前は協同農場の責任で支援者たちに対するおかずや汁を負担してきたのに。
※主食は支援者が持参するのが一般的で、その負担も小さくないという。

――動員されて来る学生や生徒たちはちゃんと働くのか?

農村に来て、ただ時間をつぶしているだけだ。そもそも動員に来ている(中学生)はクラスの3分の2程度だ。裕福な家の子供たちは、親が金を出して動員から抜けさせている。貧乏な子供たちだけが来て作業するのだが、いったいどれほど仕事をすると? それに、(学生には)泥棒するのが多い。 最近では、鶏やウサギよくいなくなる。毎日のように(支援者に)盗まれてもって行かれる。
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