政府は飯舘村の避難解除を2017年3月末におこなうと発表した。しかし、山に囲まれた飯舘村では、雨などで土が流れるためすべての除染は不可能だといわれる。福島県伊達市の仮設住宅に暮らす菅野榮子さん(80)と菅野芳子さん(79)は、不安を隠しきれない。古居さんは今後も飯舘村の女性たちを記録するという。(アジアプレス・ネットワーク編集部)
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◆日帰り一時帰宅した榮子さんの笑顔が消えた
榮子さんが日帰りで飯舘村の実家に行くというので同行しました。時間が止まったかのような家の中とは対照的に、除染作業で村の景色が変わってしまったと榮子さんは言いました。家の周りに植えた大事な居久根(いぐね)の木も切られてしまったと榮子さんは悲しそうでした。
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榮子さんは庭を見回りながら、木々や花に「手をかけられなくてすまないね」と声をかけていました。そこにはいつもの笑顔はなく、怒りの眼をしていました。それは原発によって「家を犯された」怒りです。その後、気分が悪く吐き気がすると言って彼女は仮設に戻ったのでした。カメラを回しながら、心が引き裂かれるような気持ちになりました。
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