6月23日の沖縄「慰霊の日」に、安倍総理は日米地位協定を改訂すると言明した。たがその内容は、協定の対象から軍属を外すだけで終わりそうな雲行きだ。米軍基地問題を追及してきた沖縄のジャーナリストからは、その対応を疑問視する声が出ている。(iAsia編集部)

訓練をするアメリカ軍(撮影:アイ・アジア)
訓練をするアメリカ軍(撮影:アイ・アジア)

 

安倍総理は、沖縄戦終結から71年となる日の式典会場で、「沖縄の基地負担の軽減に尽くす」と話して政府の取り組みをアピールした。また、その後の記者会見で、「(今回の殺人事件の)容疑者のような人物が軍属という形で地位協定によって守られている、保護されているのはおかしいと思います。地位協定上の軍属の扱いの見直しを行うことで(米国政府と)合意をしています。沖縄県民の皆様方の気持ちに寄り添いながら成果を上げていきたい」と述べて、地位協定の改訂に日米両政府が着手したことを明らかにした。

日米地位協定とは、日米安全保障条約に基づいて在日米軍人、軍属らの地位を定めたもので、基地の管轄権や軍人の刑事、民事裁判などについて規定した28の条文からなる日米政府間の合意書だ。協定が公務中の米軍人、軍属の日本での裁判の免責などを定めていることから、米軍施設の集中する沖縄では、米軍人に特権を与えた協定と考えられている。

今回、1960年に制定されて以来、初めてとなる協定の改訂が実現するというのが安倍総理の発言の趣旨だが、実際には、大きな改訂とはなりそうもない。安 倍総理が口にした通り、軍属を協定の与えた地位の対象から外すということで議論を終えたいというのが米政府の思惑だからだ。具体的には、協定の対象を規定 した1条から、軍属を外すということだ。

今回、殺人の疑いで逮捕されたケネス・フランクリン・シンザト容疑者が軍属だから、軍属を地位協定の対象から外すことで沖縄の怒りがおさまると日米両政府は踏んでいるのかもしれない。しかし、それでは根本的な問題の解決にならないと見る識者は多い。

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