実はそれ以前の2012年、ミャンマーの西方ラカイン州で起こったロヒンギャに対する迫害で、ロヒンギャたちがミャンマー国内で迫害されているというニュースは何度も報道されてきた。もっともそれは、仏教徒とムスリムの「対立」としての面が大きく報道されていた。
" ロヒンギャ・ムスリム" に対する迫害は、1978年、1992年、2009年と立て続けに発生していた。1978年と1992年には、20万人を超えるロヒンギャたちが国境線に当たるナーフ河を超え、バングラデシュに避難していた。
2009年には、2015年に起こったように、ボートピープルとして避難するロヒンギャたちの乗った船がタイの海岸に漂着し、それをタイの官憲が迫害するという問題も引き起こしていた。これもやはり、一時期、日本でも大きく報道された。
私が不思議に思ったのは、どうして2015年になって、約40年間続いてきたこの問題が改めて国際的に大きく取り上げられたのか、ということである。それは、前述したように、同時期、欧州で難民問題が大きく取り上げられ、それに呼応する形で東南アジアでの難民問題や人身売買問題に注目が集まった、ということである。2回へ
宇田有三(うだ・ゆうぞう) フリーランス・フォトジャーナリスト
1963年神戸市生まれ。1992年中米の紛争地エルサルバドルの取材を皮切りに取材活動を開始。東南アジアや中米諸国を中心に、軍事政権下の人びとの暮らし・先住民族・ 世界の貧困などの取材を続ける。http://www.uzo.net
著書・写真集に 『観光コースでないミャンマー(ビルマ)』
『Peoples in the Winds of Change ビルマ 変化に生きる人びと』など。
1963年神戸市生まれ。1992年中米の紛争地エルサルバドルの取材を皮切りに取材活動を開始。東南アジアや中米諸国を中心に、軍事政権下の人びとの暮らし・先住民族・ 世界の貧困などの取材を続ける。http://www.uzo.net
著書・写真集に 『観光コースでないミャンマー(ビルマ)』
『Peoples in the Winds of Change ビルマ 変化に生きる人びと』など。
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