定年退職する教職員が年金の支給開始年齢に達するまでの間、再任用希望者を再任用するものとするとの決まりがある。にもかかわらず、府教委は志水さんの希望を受け付けなかった。明らかな嫌がらせである。
現在、志水さんは中国・大連で日本語を教えている。

大阪地裁の判決は、「君が代」に抵抗を持つ人に起立斉唱させる職務命令は「憲法で保障された思想・良心の自由を間接的に制約する面がある」と指摘。志水さんが起立しなかったことで式典が妨害されたわけでもないと認めながらも、「起立斉唱は儀礼的な所作で許される程度の制約だ」と判断した上で、「公務員としての規律より自らの価値観を優先させたとして減給が相当」と結論づけた。

同じように、東京で懲戒処分を受けた公立学校の先生たちが都に処分の取り消しを求めた訴訟で、最高裁は「不起立のみによる停職と減給は違法」と明確に示していた。

志水さんは「減給なら取り消されるに違いない。条例と憲法の関係についても裁判所は何らかの判断をせざるを得ないだろう」と考えたというが、減給は取り消されず、条例についてもまともな検証は行われなかった。

その「違い」に、志水さんは危惧を抱く。

「時代はそこまで悪くなっているのかもしれませんね。それゆえ、諦めるのではなく、たとえ一度成立した条例でも、間違っていることに対しては、『間違っている』と、声をあげていかなければいけないと思っています」【矢野 宏/新聞うずみ火】

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