「ロヒンギャ問題」に関わるラカイン民族についてお話しします。彼らが住むラカイン州は隣国バングラデシュに接しています。
現在のバングラデシュ、以前は東パキスタンという名の独立国でした。その東パキスタンという国もさかのぼると英国の植民地で、ミャンマーと同じようにインドの一部とされていました。
そのバングラデシュは今、ベンガル人が中心のイスラームを信奉する国として知られていますが、その昔は仏教が栄えた土地です。バングラデシュの世界遺産(文化遺産)は2つ認定されていますが、その一つは首都ダッカ北西の「パハルプールの仏教寺院遺跡群」です。
バングラデシュの中で、特に「ロヒンギャ問題」に関係があるのは、ミャンマーに国境を接する東南部のチッタゴン丘陵の地域です。
Q. チッタゴンっていう読み方は、ミャンマーのかつての首都で、現在の最大都市「ヤンゴン」と発音が似ていますが、ミャンマーに関係があるのですか?
A. 「チッタゴン」という地名の語源は諸説あるのですが、その一つに、ベンガル語からラカイン語に引き継がれた語源で「チッ・タ・ゴン(戦争をすべきでない〈場所〉/闘いを止めた土地)」という説があります。ミャンマー最大都市の「ヤンゴン」という呼び方は、軍政期にその呼称を変える(1989年)まで、英語で「ラングーン(RAngoon)」と呼ばれていました。英国の植民地下では、ミャンマー語読みのヤンゴンよりも英語読みのラングーンが一般的でした。
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