Q. じゃあ、ロヒンギャの人もバングラデシュでのコミュニケーションはそれほど困らないのですね。
A.
現地ではそう説明されました。しかし、一般的なベンガル語ではなく、チッタゴン方言のベンガル語というのは、現地の人には分かるので、「おまえたちはよそ者だろう」という感じで、ロヒンギャたちが差別されている話はよく聞きました。

Q. なぜ差別されるのですか?
A.
推定20万人を超える人が外から来れば、食事の準備のための薪集めだけで、現地の人と資源の取り合いになる。工場や田畑での労働者も賃金の安いロヒンギャが優先され、現地の人の職を奪うことになるなど、生活レベルでの摩擦が起きます。

Q. 確かバングラデシュは人口密度が世界でも高かったような気がします。
A.
生活の状況に関しては、バングラデシュの首相もインタビューで、「バングラデシュは既に人口過密状態」といっています。

バングラデシュの人口に関しては、誤解があるようです。確かにバングラデシュは現在でも、最も人口密度の高い国として知られています。しかし、かつて人口増加の問題を抱えていたバングラデシュは人口抑制の政策をとり、その政策は成功しているといえるでしょう。バングラデシュは現在、人口増加率で見ると南アジアで低い国となっています。(つづく)

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宇田有三(うだ・ゆうぞう) フリーランス・フォトジャーナリスト
1963年神戸市生まれ。1992年中米の紛争地エルサルバドルの取材を皮切りに取材活動を開始。東南アジアや中米諸国を中心に、軍事政権下の人びとの暮らし・先住民族・ 世界の貧困などの取材を続ける。http://www.uzo.net
著書・写真集に 『観光コースでないミャンマー(ビルマ)』
『Peoples in the Winds of Change ビルマ 変化に生きる人びと』など。

 

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