今年に入って北朝鮮内部で住民の取り締まりと統制が強化される中、北部地域では短期強制労働施設の「労働鍛錬隊」の収容者が急増、劣悪な環境のため死亡者と栄養失調になる者が続出していると、最近「労働鍛錬隊」を出所した住民が、9月中旬アジアプレスの取材に応じ証言した。(カン・ジウォン/ペク・チャンリヨン)
「労働鍛錬隊」とは、社会秩序を乱した、当局の統制に従わなかったと見なされた者、軽微な罪を犯した者を、司法手続きなしで収容して1年以下の強制労働に就かせる「短期強制労働キャンプ」のことだ。全国の市・郡にあり保安署(警察)が管理する。
取材に応じた女性は北部地域の居住者で、今年上半期に些細なことで統制違反を理由に逮捕されて「労働鍛錬隊」に送られた。以下は一問一答。
記者:「労働鍛練隊」の収容者は増えていますか?
女性:ええ、最近は、座る場所がないほどです。
記者:なぜ収容者が増えているのですか?
女性:暮らしていくのがしんどいのに統制が厳しいからです。工場や企業所でまともに稼動している所なんてないから、皆、違法行為をしてお金を稼がなければなりません。ところが、(当局が)取り締まりを厳しくしているんです。
記者:どんな人が収容されていましたか?
女性:(中国と)密輸をした者、中国に越境した者、韓国に逃げようとした者、職場に出勤しない者、泥棒など、ありとあらゆる罪の人たちでした。
記者:「労働鍛錬隊」内部の生活はどうですか?
女性:栄養失調になって今にも死にそうな人が非常に多かったです。食事は、トウモロコシに菜っ葉を混ぜたものと塩がすべてでした。私のように、家が近隣にある者は、差し入れをしてもらえるので少しましでしたが、他地域の人々、特に若者と女性が栄養失調にかかって無残でした。「労働鍛錬隊」では、他地域出身の人がたくさん死にます。
記者:どんな労働をさせられましたか?
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