秘密警察の国家安全保衛部が、最近、行方不明者の再調査を開始したと、咸鏡北道に住む取材協力者が26日に伝えてきた。(カン・ジウォン)
この取材協力者は、保衛部の調査を受けた複数の住民に会って話を聞き、次のように伝えてきた。
「調査は保衛部要員と保安員(警察)、人民班長で行われ、行方不明者の家族の家を訪問するか、保衛部に呼ぶ形で進めている。過去に家族が行方不明になった 状況について再尋問している。保衛部では、行方不明者の過去の犯罪を含めた履歴…中国との密輸に関わった、華僑と接触があった、密輸ルートを介してお金を 受け取ったことがあったなどと照らし合わせ、1韓国逃亡、2中国逃亡、3本当の行方不明 、と可能性を三分類することが調査目的だと行方不明者の家族に伝えたそうだ」。
ただ、この協力者は、自分の居住する郡の多数の人民班で調査が進行中だが、それが全国的に進められているのかは不明だと付け加えた。
1990年代の大社会混乱以降、中国との国境地域では膨大な数の住民が行方不明になった。保衛部と保安当局では逐一調査をし、もし韓国はじめ外国に脱出していることが確認された場合、北朝鮮に残った家族を国境から離れた地域に強制移住(追放)してきた。
そうした不利益を被ることを知っている行方不明者の家族は、調査に対してあくまで「家を出た後、どこに行ったかわからない」と主張して、決して脱北したとは言わない。また賄賂を使って制裁を避けるケースも多かった。
取材協力者は自身の知り合いのケースについて次のように述べる。
「○年前に中国に越境した娘のために保衛部の調査を受けることになった知り合いは、行方不明になった娘につにいて『食べるものもなく、暮らしが辛くて何度も水に飛び込んで死ぬと言っていた。生きているのかどうかわからない』と、ずっと虚偽の陳述をしていた」。
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