安倍政権が秋の臨時国会でTPP(環太平洋経済連携協定)の承認案成立を最優先に位置づけたのを受け、国会批准阻止に向けた緊急行動発足集会が9月9日、大阪市西区の関西生コン学働館で開かれた。同志社大の田淵太一教授がTPP協定の問題点を指摘し、「TPP阻止国民会議」の山田雅彦・元農水相が最終合意文書の中身について説明した。10月15日には東京でも反対集会が行われる。(新聞うずみ火/矢野宏)

9月9日、大阪市で開かれた「TPP阻止国民会議」でTPP反対を訴える山田雅彦・元農水相(新聞うずみ火)
9月9日、大阪市で開かれた「TPP阻止国民会議」でTPP反対を訴える山田雅彦・元農水相(新聞うずみ火)

◆米国民と共闘を
同志社大の田淵太一教授はTPPについて、「自由貿易協定と規定していながらも、実質は『投資協定』だ」と切り出し、「米国・ウォール街の1パーセントの 富める巨大企業や富裕層が投資しやすくするための協定だ」と指摘した。

危険なのが「ISDS(投資家対国家紛争処理)条項だ」と述べた。「投資家である巨大企業が外国で不利益が生じた場合、その国の政府や自治体を世界銀行の傘下にある『国際投資紛争解決センター』に提訴できる。巨大企業に国家と同等の地位を与え、国家主権を無視して超国家的に裁判を行う仕組みだ。3人の法律家のうち、訴える側、訴えられた側が1人ずつ、センターは米国にあるので米国人の法律家が起用され、2対1で米国企業寄りの判決になる」
関連記事:今さら聞けないTPPの話 新聞うずみ火)

さらに、田淵さんは、「日本の国益を守れ、米国に押しつぶされるな、という反対では効果はない。一番の反対勢力は米国にいる」という。米国は1994年、カナダとメキシコとの間でNAFTA(北米自由貿易協定)を結んだ。「莫大な雇用を生み、安価な農産物が輸入される」とうたわれたが、米国で200万人の雇用が失われ、賃金水準や労働環境も悪化した。
2010年の世論調査で、「米国と他国のFTA(自由協定)では米国の雇用を犠牲にしている」と考えている米国人は69パーセントにのぼったという。
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