二回目になったアジア調査報道会議は盛況。次回は福島が候補地になっている(撮影アイアジア)
二回目になったアジア調査報道会議は盛況。次回は福島が候補地になっている(撮影アイアジア)

 

インドのリタ・サリンは「まだ私は追い続けている。政府の反応については、財務大臣がパナマ文書の報道をきっかけに租税回避地に逃れる資金の調査を開始すると発表した」と話した。

共同通信の澤康臣特別報道室次長は、「共同通信とライバルである朝日新聞とで協力して取材にあたるという過去にない取り組みを行った。日本ではこれまで政治家の名前は出ていないが、それでも我々は失望していない。まだこれからも取材を続ける」と話した。

インドネシアのワイユ・ディヤトミカは、「大統領の名前を調べ続けてきたが、そうした名前は見つからなかった。その後、大臣、経済界の名前を探し続けてきて、2人の現職大臣、数人の公職者、犯罪者の名前を見つけた。大統領官邸からは、誰の名前が出ているのか教えてほしいと連絡があったが、我々は応じなかった。インドネシア政府は、ある意味で賢く、パナマ文書を使って政治家の汚職に厳しい対応を取ろうとした」と話した。

◆アジアのジャーナリスト協働のネットワーク
24日には、アジアのジャーナリストが協働して調査報道を行うネットワークについても議論が行われた。その中で、パナマ文書の取材をアジア各国で分担して更に深く掘り下げていくことが決まった。

具体的には、インドネシアのワイユ・ディヤトミカ、朝日新聞特別報道室の奥山俊宏編集委員、そしてアイ・アジアの創設者であるジャーナリストの立岩陽一郎氏が中心となって、パナマ文書へのアクセスが認められていないアジア各国のジャーナリストを支援してパナマ文書の取材を行い、最終的には、データを管理しているICIJと交渉してデータの開示を要請してニュースとして出すというものだ。

参加するネパールの記者は、「パナマ文書のプロジェクトに加わりたいと考えていたが、加わるには高い評価が必要で、ネパールの記者にはハードルが高すぎた。こうした取り組みで、多くのジャーナリストが参加できるのは励みになる」と話した。

ネットワークのコーディネーターには立岩陽一郎氏が就任。ネットワーク作りとともに、取材の指導、ICIJとの交渉を担うことになる。立岩氏は次のように話した。
「アジアのジャーナリストのネットワーク作りは、2年前にマニラで初めてアジア調査報道会議が開催された時から議論されてきた。それが動かなかった理由は、『これを取材したい』というアイデアは出るが、そこに具体性がなかったからで、パナマ文書はデータがあるので、具体的に動くことができる。パナマ文書でネットワークが構築できれば、次は他の調査報道に着手する。そうやってアジアのジャーナリストが協働して調査報道を行う枠組みを強化したい」
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