北朝鮮の通行制度上、保護者なしに児童が列車に乗ること、特に平壌への列車の旅は少年犯罪行為であり、安全部(当時の警察機関)と青年同盟の厳重な取り締まりを避ける冒険と知恵の発揮なしには不可能だった。
それは覚悟していたことだったが、この忠誠心にあふれる児童たちには、恐ろしいもう一つの未知の威嚇が待っていた。正常ならば普通、平壌までの最長距離の列車旅行でも24時間以上かかることはないが、あたかもその忠誠心の強度を計るかのように、鉄道運営の破綻と無秩序は、旅費のない少年団員を容赦なく途中で断念させ、旅をあきらめさせたのだ。もっぱら最強の忠誠心をもった児童だけが、将軍様のいる北朝鮮の奥深い平壌に肉迫することができた。
一方この時期、平壌市への出入りは、従来の受動的な管理制度から、関係機関の公務員が積極的に関与するように変わった。すなわち、鉄道員たちはそれを既得権として、民衆から賄賂を取ることで収入源にしたのだ。列車で平壌に入るには、二重の腐敗的な統制状態が作られ、雰囲気はどんな時よりも殺伐としていたのだった。(続く)
※少年団
少年団には、小学2年生から初等中学3年生までのすべての子供が加盟する。北朝鮮国民として初めての組織生活だ。高級中学1年生からは青年同盟に移る。
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