沖縄の特徴は、民間地域の隣でこういった訓練が行われていることなのです。子どもたちが教育をうけるような場所の近くに、こんな演習場があること自体異常なわけです。「本土」だったら広大な演習場があり、民間地から離れているところで訓練が、行われていると思いますが、沖縄ではこれが70年間当たり前に続いているのです。
◆強引にゲートこじ開け
参院選翌日の7月11日に高江の工事が再開されました。22日には、ずっと車両を停めて封鎖していた県道70号線沿いの「N1表ゲート」に沖縄県警と全国の機動隊が押しかけ、暴力と無法状態の中で車両と抗議テントを強制的に撤去しました。
座り込んでいる市民を何回も何回も突き飛ばし、押し転がし、排除する。けが人が続出する中、ゲートを封鎖していた車両の上にも機動隊員が上がってきて、車体と身体を紐で結んで抵抗していた市民を引きずりおろしていきました。
自分もこのとき、車両の上にいましたが、これだけの数の機動隊で埋め尽くされるのを見たのは初めてでした。さすがに「ここまでやるか」と思いましたね。これまでの闘いとは全く状況が違う。これは大変なことが起きていると、まざまざと感じさせられた日でした。
警察と沖縄防衛局は、なんとしてもこのN1表ゲートを開けたかったのです。なぜなら建設用資材はここから搬入されているからです。早朝、国頭村の採石場を出発したダンプカーの車列は前後を警察車両に厳重に守られながら、低速運転で高江に向かってきます。これに対して、搬入を阻止するための抗議行動が取り組まれてきました。
20歳の名護市民の女性が元米海兵隊員の米軍属に殺された事件がありました。その事件を理由に、パトロールのためとして全国から約70人の防衛局員が集められ、高江で市民を弾圧するために使われています。高江に人が必要だったら、そのために予算を取ればいいのです。それを、女性殺害事件を口実にパトロール隊として送り込む。こんなことが許されるのでしょうか。
(続く)
目取真俊(めどるま・しゅん)
1960年沖縄県今帰仁村生まれ。1997年「水滴」で第117回芥川賞受賞。沖縄戦や米軍基地問題などをテーマに数多くの作品を発表。
ブログ「海鳴りの島から」http://blog.goo.ne.jp/awamori777で高江や辺野古での抗議活動について発信している。
※この連載記事は10月14日に大阪市内で行われた目取真さんの講演(「関西・沖縄戦を考える会」主催)の要旨です。(整理/文責 新聞うずみ火栗原佳子)