◆野戦訓練と隣り合わせの暮らし
国頭村、東村、大宜見村など沖縄島最北部の広大な森林地帯が北部訓練場になっています。もちろん沖縄県民が自ら進んで提供したのではなく、敗戦のどさくさの中で、あるいは米軍の占領下で基地として収容されたのです。
もともとは住民がずっと昔から使ってきた杣(そま)山です。この地域は沖縄の中でも貧しく、畑を作ろうにも土地がなく、木を切ったり炭焼きをしたりするくらいしか現金収入がなかったような過疎地です。だから米軍基地ができて基地関係の収入が入ってくると、依存する構図も生まれてきます。
高江がある東村は最近ではパイナップルが有名ですが、農業も人手がかかりますし、簡単ではありません。そんな中、建設業や林業に生活の糧を求めると基地と関わらざるをえない。大都市のように民間工事なんてありませんから、建設業者も基地の仕事を引き受けざるをえないのです。人の弱みにつけこんで、ヘリパッド建設がすすめられていくのです。
先日、国頭村を車で走っていたとき、道路のすぐ横のヘリパッドに、MV22オスプレイが離発着する場面に遭遇しました。ビデオカメラで撮影していると、風圧が強くて思わずよろめくほどでした。噴出する下降気流で砂利とか小石がバンバン飛んできて顔にあたるくらいの激しさです。このヘリパッドは既存のものです。新たに6基のヘリパッドを作って米軍にサービスしなくても、返還されない訓練場の中に15基もあるのです。
完全武装した米海兵隊員たちの野戦訓練も道のそばで当たり前のように行われています。米海兵隊は世界最強の軍隊といわれるだけあって、プロレスラーみたいな体格の人たちがたくさんいます。彼らが週末、酒を飲みに行って事件を起こす。もちろん全部が全部ではありませんが、そのうちのわずかであっても、こういう人たちが向かってきたら、皆さんどうしますか。沖縄にはそんな人たちが常に1万数千人いて訓練をしているわけです。同じ数が大阪にいたらどうしますか。
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