芥川賞作家の目取真俊さん(撮影うずみ火)
芥川賞作家の目取真俊さん(撮影うずみ火)

G地区は一番深い森の中にあり、普段ほとんど人が入りません。新しく海と連動させた訓練をするため、米軍はここにヘリパッドを作りたいのです。

G地区とH地区の工事では9月、森の中に機材を下ろすのに、民間ヘリと自衛隊ヘリが使われました。G地区とH地区の工事が本格的に始まったのはそれからです。沖縄の米軍基地建設で、自衛隊が投入されるのは、2007年に辺野古の海で、事前調査の支援という名目で海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」が投入されて以来です。

自衛隊の任務の中に米軍基地建設支援なんかあるのか、自衛隊法にこんなことをする法的根拠があるのかという話です。自衛隊が沖縄で米軍基地を大っぴらに使ったのは単に工事のためではありません。実戦的な訓練と同じですから、自衛隊が使用する先駆けを作っているのです。

●身体張るしかない

わざわざ好き好んでやる人はいません。選挙でどんなに勝っても駄目、翁長知事が国に訴えても駄目、ならば何がありますか。現場で身体を張ってやらざるをえません。どうせ作られるなら、無駄な抵抗をしても仕方ないと思う人もいるかもしれません。しかし抵抗して出来るのと、何も抵抗しないで出来るのとでは大きな差があると思います。少なくとも子や孫たちに、簡単に作らせたのではないことを示せるわけです。

古いものはいずれ撤去されるかもしれない。でも新しく作られたら撤去の可能性すら消えてしまう。だから何とか阻止しようとみな頑張っています。これを聞いた皆さんの一人でも多くが、高江の行動に参加してほしいと思います。

色々なかたちで情報発信するというのも大切な行動です。また大阪で支援活動するのも重要な行動ですので、ぜひ自分のできることをやってほしいと思います。

おわり

目取真俊(めどるま・しゅん)
1960年沖縄県今帰仁村生まれ。1997年「水滴」で第117回芥川賞受賞。沖縄戦や米軍基地問題などをテーマに数多くの作品を発表。
ブログ「海鳴りの島から」http://blog.goo.ne.jp/awamori777
で高江や辺野古の抗議活動について発信している。

※この連載記事は10月14日に大阪市内で行われた目取真さんの講演(「関西・沖縄戦を考える会」主催)の要旨です。(整理/文責 新聞うずみ火栗原佳子)

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