11月に入って、鉄道運行事情が急に悪化したと、北朝鮮の各地の取材パートナーから報告が入っている。原因はまだ調査中だが、電力事情の悪化のためである。
「目的地にいつ着く分からないので、列車はがらがら。住民たちはもっぱら『サービ車』を利用しています」
と、咸鏡北道の清津(チョンジン)市、会寧(フェリョン)市の取材パートナーが、同様の報告を伝えてきた。
「サービ車」とは、トラックの荷台やバスに金を取って客を乗せる商業的な交通機関のこと。国営の鉄道よりはるかに料金が高いが、速くて確実に目的地に着ける。
「サービ車」は、立ち遅れた既存の国営交通網に代わって、今や北朝鮮の旅客運送の主役の座を占めている。運営は、利益追求の市場経済方式だ。「サービ車」の呼び名は「サービス」に由来すると言われている。
写真は、アジアプレスの取材パートナーのペク・ヒャン氏(女性)が、「サービ車」に実際に乗った時にビデオ撮影したのものだ。
満員の荷台の上は、車が揺れるたびに「おー」「きゃあ」と声が上がり、客の顔が歪む。「どこ触ってんのよ」と、男を怒鳴りつける女性の声も記録されていた。庶民は、移動するのも楽ではなさそうだ。(石丸次郎)
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