北朝鮮ウォンの外貨との実勢交換レートは、この6年間で、一時期300分の1に下落していたが、この1年間を見ると、逆にじりじり価値を上昇させている。北朝鮮が外貨不足に陥っている兆候、もっと言えば国連制裁「2270」の影響は、国内の市場に限って見ると表れていないのである。
北朝鮮は、3月に決議された国連制裁「2270」を無視して、9月9日に5度目の核実験を強行した。現在、新たに強力な制裁決議を安保理で協議していると言われるが、既にこの核実験から50日以上が経過している。米国と中露の折り合いがつかないためだ。中国は過去数年、毎年ざっと10億ドルの相当の石炭を北朝鮮から輸入してきた。制裁「2270」では、金正恩政権の外貨収入に打撃を与えるため石炭輸入を原則禁止したのたが、中国は「民生用」という名目で北朝鮮から石炭を輸入し続けている。
11月8日に米国大統領選もあり、国連安保理の新たな対北朝鮮制裁が、いつ、どのような内容で採択されるのか、まったく不透明な状態にある。(石丸次郎)
付記
原稿入稿段階で、北朝鮮内部の複数の取材パートナーから、11月に入って穀物価格が急に上がり始めたと報告があった。11月4日時点で白米5800ウォン(約 77円)、トウモロコシ2100ウォン(約28円、ともに1キロ)。上昇の原因はまだ不明だ。
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