トランプ政権誕生を読めなかったと衝撃が走っている米メディア界だが、実は適格に予想していた記事もある。11月2日のウォールストリートジャーナル紙だ。国勢調査の最新の人口動態統計から、「トランプ有利」と報じている。(アイ・アジア編集部)
「急激な変化がトランプを支援」という見出しのその記事は、2000年から2015年までの全米の人口動態統計の分析から始まっている。そして、アイオワ、インディアナ、ウイスコンシン、イリノイ、ミネソタという中西部の州で、非白人の急激な人口増が生じているという結果を紹介し、それがドナルド・トランプ氏の大統領候補としての躍進の原動力となっていると伝えている。
それはどういうことなのか? 記事は、ウイスコンシン州の51歳の白人男性の言葉を紹介している。
「この町で起きている変化を目の当たりにすれば、『何かをしなければならない』と言うだろう」。
つまり、白人社会が崩壊することに危機感を覚えた人々がトランプ支持に動いたということだ。
実際にはイリノイ州でトランプは勝てなかった。しかしその周辺は全てトランプ支持になった。つまり、その記事は選挙戦の全てを的確に予想したわけではないが、流れを的確に分析していたことは間違いない。しかも、非白人層が増えた州で非白人から人気のないトランプが勝利するという逆説的な状況も取材から浮かび上がらせている。
「歴史的な選挙」とも評される2016年11月8日の大統領選挙は、ニューヨークに代表される東部の大都市とカリフォルニアに代表される西部の大都市が、中西部や南部などの「田舎」に負けたものだ。そこには、自分達の存在が脅かされると感じた白人社会の意識があったということが、このウォールストリートジャーナル紙の記事から垣間見ることができる。
トランプの米国とどう付き合うのか? アイ・アジアは今後、現地の取材を交えて、この命題の答えを見出したいと考えている。
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