11月11日、安倍首相は来日したインドのモディ首相と日印原子力協定で最終合意をして署名した。この協定によって、日本からインドへの原発輸出が可能となった。日本はこれまでに同様の原子力協定を14カ国・機関と結んできた。しかし、インドとの協定締結はこれまでとは大きな違いがある。それは、インドがNPT(核拡散防止条約)に未加盟の核保有国であることだ。(高橋宏/新聞うずみ火)
◆核保有国のインドとの原子力協定とは
日本はかつて、NPT加盟前の国(フランスと中国)と協定を結んだことがあった。いずれの国も後にNPTに加盟しているが、インドは今のところ加盟する意思はない。
協定では「協力は平和目的に限る」とされているものの、軍事転用を防ぐために、核実験を実施した場合の規定(協定を停止すること)は、インドが「核政策は主権に関わる」などと拒否したため盛り込まれず、別文書で「方針」を確認するにとどまっている。日本から移転(輸出)されたウランの濃縮や、使用済み核燃料の再処理(いずれも核兵器製造につながる技術)を認めているにもかかわらず、だ。
1970年に発効したNPTでは、67年1月1 日前に核兵器その他の核爆発装置を製造しかつ爆発させた中国、フランス、ソ連(当時)、英国および米国の「核兵器国」5カ国だけに認め、その他の国家を「非核兵器国」として保有を禁じている。
しかし、インドは74年に核実験を成功させて、核兵器保有国となった。原料として使用されたのは、56年にカナダと結んだ原子力協定に基づいて提供された、研究用原子炉から生みだされたプルトニウムだ。
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