昨年11月30日に国連安全保障理事会で採択された新しい対北朝鮮制裁。2017年の北朝鮮の石炭輸出量の上限を750万トン(2015年比62%減)、または4億90万米ドルのどちらか低い方とする他、銅、銀、亜鉛、ニッケルなどの鉱物資源を輸出禁止にすることを盛り込んだ。これらにより、金正恩政権は年間8億米ドルの外貨収入を失うものと見られている。
新しく科された制裁から約50日間の、国内の主食とガソリンの市場価格、対中国元の実勢交換レートを取材した。北朝鮮内部の取材協力者が市場に行って調査し伝えて来たものだ。北部の中国国境に近い地域のものだが、少し遅れて伝えられた平壌の価格も、おおむね同様であった。
関連記事:<北朝鮮内部>「最強の制裁2270」は効かなかった 市場動向調査から見た制裁効果
新制裁決議採択後、白米価格は約20パーセント下落、逆にトウモロコシは約25パーセント上昇した。主食は対照的な様相を見せているが、上下動のはっきりした理由は現時点ではわからない。ガソリンと軽油は、国際油価の上昇もあってか、2017年初めから10~20パーセント上がっている。
注目された対人民元の実勢交換レートは安定している。まだ新制裁から日が浅いが、市場の物価と外貨実勢交換レートに関しては、今のところ影響は出ていない。
以下、表示は朝鮮ウォン。米とトウモロコシは1キロ当たり、油類は1リットル当たりの価格だ。この50日間、日本円相場は上下動が激しかったが、1円は約75ウォンと目安として見て頂きたい。(カン・ジウォン /石丸次郎)
※アジアプレスでは、北朝鮮内部に中国の携帯電話を送って国内事情を調査している。
【関連記事】
◆ 「中国が制裁強めたら北朝鮮は潰れる」 住民が中国依存の現実を吐露
◆ 「核実験成功喜ぶ平壌市民」はプロパガンダ映像 垂れ流すテレビの無節操 民衆の本音は「核よりコメ」だ
◆ <北朝鮮内部>「制裁で打撃受けるのは幹部と金正恩」と庶民の声 実生活への影響は必至
おすすめ<北朝鮮> 写真特集・無料動画…