金家の三人の息子、正男氏の成田拘束も知っていた女性

同じく北部地域の両江道に住む女性(30代の女性労働者)は次のように電話で語った。

――金正恩氏の異母兄の金正男氏がマレーシアで殺されました。金正男氏について知っていますか? 知っているとしたらどんな内容ですか?

B 私は知っています。金正男のことを知っている人は多いですよ。幹部連中は皆知っているし、庶民にも知っている人がいます。咸興(ハムン)の方に行けば、南朝鮮の放送が聞けます。私はそこで聞きました。

――ラジオを通じて知ったのですね。放送はどんな内容でしたか?

B 2009年の冬に咸興に行ったのです。日本のソニーの録音機があって、南の放送を聞きました。金正恩は三番目の息子で、金正男というのが長子で、金正哲というのと合わせて息子が全部で三人いると。金正男が偽造パスポートで日本へ行って拘束されたとか、そんな内容でした。

――金正男氏は金正恩氏の異母兄ですよね。まだ北朝鮮の犯行かはっきりしませんが、私が送ったニュースを見て、どう思いましたか?

B あらかじめ送って来たニュースは読みました。「横枝狩り」というやつでしょうね。

※金正日氏が1974年に後継者に内定した後、政敵だった金日成の後妻の金聖愛(キム・ソンエ)と息子の金平日らを、金一族の傍流=「横枝」として徹底的に疎外した。金平日派とみなされて人が数多く粛清された。

――そう思いますか?

B はい。今まで殺さなかった理由は分かりませんが、こちらの実情から見ると、何か重大な問題を引き起こしたことで殺されたのではないのでは。朝鮮では「横枝狩り」で死んだ人は一人、二人ではありませんよ。張成沢(チャン・ソンテク)もそうだし、金敬姫(キム・ギョンヒ)同志はどこに行ったのかも分からないし。

(張成沢氏は2013年12月に処刑された。金敬姫氏はその妻で金正日氏の実妹)

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