冬季の暖房もアパートには難点が多いという。平壌のアパートで、都市集中暖房(セントラルヒーティング)による床暖房(オンドル)が機能しているのは、やはり一握りの高級幹部用や富裕層が住む高級アパートだけ。電力難で電気ストーブも使えないため、市内の大部分のアパートでは、練炭をベランダで燃やして、自前で作った空気管を部屋の中に巡らせてその熱気で暖める。相当に経済的余裕のある家は、プロパンガスを買って中国製のガスストーブを使うというのが、前出ペク・チャンリョン氏の説明だ。
平壌の冬は氷点下20度まで下がる。アパート暮らしの老人たちが、家の中があまりに寒いため、地下鉄駅構内で時間をつぶす光景がよく見られるという。地下深く掘られた平壌の地下鉄は、暖房は入っていないが暖かなのだそうだ。
平壌でも地方でも、電力難による不便のため、アパートの高層階住まいは嫌われる。低層のアパートや庭のある平屋が好まれるという。野菜や芋なども栽培できるからだ。
「階が上がれば上がるほど値段が安くなる」
平壌暮らしを経験した人の共通の証言だ。(続く)
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